帝人ヘルスケア

患者ファーストのチーム医療実現に向けて

医療最前線「ケア職」ビジョン構築・浸透のための共創型課題解決の組織プロセスデザイン

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在宅医療のリーディングカンパニーである帝人ヘルスケア。患者様のQuality of Life向上の実現のために、最適な療養環境を提供するケア職のビジョンを描き、現場が抱える課題解決に取り組むことにしました。

ポイント

  1. チーム医療の実現のため現場の最前線にいる「ケア職」のビジョン構築に挑戦
  2. アンケートやワークショップなど現場巻き込み型のプロセスの設計
  3. ビジョン実現へ向け、現場と本社の共創型課題解決の組織プロセスづくり
  • 課題

    在宅医療における業界のリーディングカンパニーとして、チーム医療の実現を掲げる同社。
    “患者ファースト”の提供価値を高める上で、患者対応の最前線にいるケア職の価値向上や周辺組織との連携を強めたいと考えていた。

  • 実施したこと

    アンケートで現場のリアルな声を収集した上で、現場と本社両者が参加する共創型課題解決プロセスのワークショップを実施。
    ケア職のビジョン浸透や、現場課題の洗い出しや整理するプロセスを通じて、新たな組織プロセスを設計した。

  • 結果

    現場が抱える7つの課題を抽出。解決策の検討プロセスを通じ、現場の視座が高まり主体的なコミュニケーションへと変化した。本社も現場の課題解決を促進する組織プロセスを形成することができ、引き続き共創型でプロジェクトを継続中。

語り手

山田 良徳
帝人ヘルスケア株式会社
営業業務部 部長
吉田 なぎさ
帝人ヘルスケア株式会社
営業業務部 課長

ケア職のビジョン策定を決意するものの、本社と現場に大きな距離感があった

現場の最前線にいるケア職は非常に重要な役割を担っているものの、本社から見ると遠い存在でした。業務マニュアルを更新できておらず、研修実施も現場任せ。この状況を危惧し、2021年2月頃に「来期はケア職に主眼を置いた取り組みを行おう」と考えたが、現場の人の顔も数名しか思い浮かばない状態でした。課題の仮説設定すら行えないほど距離感が生じていたのです。(山田)

現場で自律的に動いてもらうために、ケア職のビジョン策定のアイデアが浮かびましたが、私たち営業業務部はそれほど潤沢に人員がいるわけではありません。そこで従来から自社の働き方改革を手伝ってもらっていたCADENAに相談し、社内ミーティングに参加してもらいながら、施策を一緒に考えていきました。(吉田)

440名の現場の声をアンケート収集。現場と課題を話すワークショップを開催

ケア職を主役にした取り組みを行うのは1983年の事業開始以来初めてのことでした。現場のことを理解するため、まずは440名のケア職にアンケートを取ることにしました。現場の切実なリアルな声や本音を知れたのはプロジェクトの初動設計としては良かったと思います。ケア職のビジョンの議論とともに、アンケートから出た課題の整理を並行して走らせることができました。

アンケートをもとに5月に本社と現場の支店代表ケア職が直接議論するワークショップを開催しました。「こういう場を設けてくれたこと自体が嬉しい」とコミュニケーションを歓迎する声が多かったです。また、一緒に課題を絞り込む議論を行ったことで「(本社は)ヒアリングして終わりじゃない」と思ってくれたようです。

しかし、課題の優先順位をつけるなかで、ケア職のビジョン実現のためにはもっと現場の実情を知った方がいいのではないかと思い始めました。(吉田)

さらにワークショップを拡大し、現場のリアルを踏まえた課題設定へ

支店代表ケア職だけではなく、7月には営業所代表ケア職までワークショップの参加者を広げました。「機台の管理で忙しすぎる」という課題であっても、担当現場によって状況は異なります。様々な視点で課題を洗い出せたのは良かったです。
さらにワークショップの実施時期も追い風になりました。当時は全社的な組織改編の渦中でした。例えばケア職の半数が「研修が足りない」と訴えているような大きな課題も、組織変革の狭間だと着手しやすい。変化が加速しやすい時期だったと思います。(山田)

オンライン実施だからこそ、これだけの人数や回数のワークショップを実現できたのもポイントです。昨年までの集合形式しか手段がない状況では、この規模で忙しい現場を巻き込むのは無理でしたね。

ワークショップの企画に関しては、詳細の作り込みを行うため、かなりの回数の打ち合わせを重ねましたが、CADENAさんが企画のアイデア出しやプロジェクト全体の進行、ドキュメントの整理などを行ってくれたのも助かりました。そのお陰もあり、私自身、現場のことだけを考えて注力することができました。(吉田)

 

本社と現場のコミュニケーションパイプが生まれた

ワークショップ後の変化の一つは、現場から本社に対する直接のコミュニケーションの機会が増えたことです。これまで、何か疑問があると現場のみで確認することが多く、それを解決するために新たなルールが現場でつくられ、細かなローカルルールがいたるところで散見されていました。ワークショップ以降は、「あれ?」と感じた素朴な疑問を、自ら本社に働きかけて解決するような動きが見られ、本社としても統一したケア職業務を検討できるようになりました。(吉田)

営業業務部のこの取り組みに関しての全社的な期待も感じています。私たちは多岐に渡るミッションを持つ部署なのですが、本取り組みに関しては「大事なことなので時間をかけてでもしっかりやって欲しい」との期待を受けています。(山田)

現場の課題解決が本来のスタート。いよいよ“患者ファースト”へと大きく踏み出す

現在もワークショップで出た課題解決フェーズは継続中です。特に現場の7-8割が課題に感じていた機台管理に関する課題については、患者ファーストの体現へ向けてケア職が本来行うべき業務に集中してもらえるよう、期待に応えたいと思っています。これまではルールが統一されておらず、現場には「やらされ感」が強かったため、工数負荷も感じやすかったと思います。今回のプロジェクトをきっかけに現場の知恵を生かした解決策を考えれば、現場の姿勢も「やるべきこと」に変わるかもしれません。(吉田)

本社と現場のコミュニケーションを継続して取っていきたいと思っています。今回出た課題は複数の部署にまたがるようなものもあったため、うまく営業業務部がハブとなり現場の声を担当部署に伝えていきたいです。本社が作ったルールであっても現場が自信を持って活動に展開できるようになれば、”患者ファースト“の動きが会社全体に浸透していくと期待を持っています。(山田)